ボクシングは、ご存じのとおりパンチ以外の攻撃はNGとなっています。他の格闘技であれば、蹴り・肘打ち・頭突きといった打撃技だけでなく、関節技もOKという物もあります。
では、他の格闘技よりも地味なのかというと、そういうことはありません。ボクシングならではの、試合の魅力という物はあります。
まず、「ディフェンスとオフェンス」。普通の人でも、殴られそうになったら体を丸めるなどして、本能的に攻撃をガードします。しかし、ボクサーはディフェンスの訓練をしているわけですから、攻撃を当てるのは、なおさら難しいといえます。
そして、ディフェンスだけでなく、オフェンスの訓練も行っています。パンチ力の強いボクサーが、完璧なディフェンスで攻撃を防がれてしまったり、ディフェンス力の高いボクサーが、それを凌駕するパンチ力で打ち負かされてしまうといったことが起きたりします。基本的に、攻撃を当てれば、相手はそこに注意が行きます。例えば、頭部を狙えば、相手はそこをガードします。そうなると腹部のディフェンスがおろそかになるので、そこを狙ったりします。
逆に、相手が腹部を狙って来ることを読んでいれば、かわされてしまいます。こういった攻防を見るのが、醍醐味といえます。
やっても見ても楽しいボクシング
格闘技スポーツの中で、ボクシングは人気があります。知らない人にとってはただ殴り合っているだけに見えるかもしれませんが、攻撃とディフェンスという攻防で頭を使うスポーツです。ルールはシンプルですが、パンチだけで相手をノックアウトするのはかなり難しいです。しかも相手も攻めてくるわけですから、ディフェンスをしながらその隙にパンチを繰り出す瞬発力も必要です。
この駆け引きがボクシングの最大の魅力です。単に相手の顔を拳で殴りまくっているだけの競技ではありません。選手によってそれぞれ戦略が異なるのも見どころです。この選手は今度はきっとこう出るだろうというような予測をしながら見るとよりエキサイトしながら楽しむことができます。
さらに、ボクシングジムもあるように身近なスポーツとしても楽しめるという魅力もあります。一時期はシャドーボクシングダイエットなるものが流行ったおかげで、ジムに通いたいという女性の数も増えました。運動効果が非常に高く、ダイエットや減量にもつながります。単純に体を動かしてパンチを繰り出すという動作をしているだけでも、普段溜まったストレスを発散させる効果も得られます。心と体にとって良い影響を与えてくれます。
立ち技格闘技の代表格のボクシング
ボクシングはとても有名な格闘技の1つです。男性を中心に多くのファンを魅了し、古くから日本人にも愛されてきました。ボクシングの魅力と言えば、鍛えあげられた選手が死力を尽くしてお互いを倒すことに集中する点が挙げられますが、それだけではありません。まだまだ奥深い魅力がたくさんあります。
プロボクサーは、労力の割に報われない職種と言うことができます。例えば日本チャンピオンクラスでも、ボクシングだけで食べていくの難しいという現実があります。日々自らを追い込み、何ヶ月もかけて心と体を鍛えあげて試合に臨む。しかし、ファイトマネーは驚くほど少ないということも珍しくありません。お金の為だけでは無い不思議な魅力を持つのがボクシングです。
ボクサー個人のファンになり、その生い立ちや背景を知れば、応援するのにも力が入ります。ボクサーがいかに人生をかけてこの格闘技に取り組んでいるのかを理解することで、より深く楽しむことができます。
どんどん前に出てKOを狙うタイプもいれば、足を使い試合を優位に進めるアウトボックスが得意な選手もいるなど、それぞれに全く異なる特徴を持っているのも面白いです。どのタイプに自分が共感できるかを探し、応援する選手を見つけるのともまた楽しめます。
観ることも、自分でやってみるのも楽しいのがボクシングの大きな魅力です。サンドバッグを叩くだけでもストレスが解消され、心も体も健康になります。ダイエット目的としても優良です。
ボクシング業界の現状などを紹介
日本においてボクシングの全盛期と言われているのが1960年代で、その頃に世界チャンピオンに輝いたファイティング原田は、当時プロ野球で活躍していた王、長嶋らと共に国民的ヒーローとして人々に愛されていました。
1970年代に入っても西城正三や大場政夫など次々と世界チャンピオンが生まれていました。テレビでボクシングの試合が放送されれば高視聴率となり、世界タイトルマッチとなると大人から子供までテレビの前で夢中になって見ていたとも言われています。
しかし現在は多くの世界チャンピオンが誕生しているものの、誰もが知っているような国民的ヒーローはいません。
世界タイトルマッチをテレビ中継してもそれほど高い視聴率は得られない事から、国民的人気という面では1960年代、70年代をピークに下がっているのは確かであると言えるでしょう。
昔も今もボクシングは実力の世界である事に変わりはありません。ボクシングは厳しいトレーニングを続けてもチャンピオンにならない限り、試合で獲得できるファイトマネーはそれほど多く期待できないスポーツです。
しかしボクシングは学歴や経歴に関係なく、自分の力次第で高収入を得たりヒーローにもなれる夢を抱けるスポーツである事も確かであると言えます。
オリンピック競技にもなっているボクシング
ボクシングは、古代オリンピックにも似た形式の競技があったと言われるほど、歴史の深いスポーツです。現代オリンピックでは、1904年のセントルイス大会から正式種目として採用され、以来、多くの国と観客に親しまれてきました。
この競技は、そのスピード感やスリル、選手同士の駆け引きが魅力となり、世界中で高い人気を誇ります。
オリンピックボクシングは、長い間アマチュア選手のみが出場資格を持つ競技として運営されてきました。これは、スポーツの原点である純粋な競技精神を重視するオリンピックの理念に基づいています。プロ選手が参戦できないことで、若手や無名の選手たちにスポットライトが当たり、多くの選手がオリンピックをキャリアの出発点としています。
しかし、近年ではこのルールに若干の変更が見られます。リオデジャネイロ大会(2016年)から、プロ選手にもオリンピック出場の道が開かれました。ただし、多くのプロ選手は試合形式や短い準備期間に不慣れであることから、アマチュア選手が依然として主力を担っています。これにより、アマチュアボクシングならではの魅力が引き続き保たれています。
アマチュアボクシングの試合では、ポイント制が採用され、選手はより正確なパンチを当てることが求められます。このため、プロのボクシングに見られるKO勝ちを狙った戦い方よりも、スピードと技術が際立つ試合が展開されます。こうした違いは、ボクシングを観戦する楽しみを一層深めてくれるでしょう。
オリンピックボクシングのもう一つの特徴は、「短期決戦」であることです。通常のプロボクシングが12ラウンド制の試合を中心に行われるのに対し、オリンピックでは3ラウンド制が採用されています。この短い試合時間の中で、選手たちは全力を尽くし、わずかなチャンスを逃さずにポイントを稼ぐ必要があります。
短期決戦では、試合の序盤からアグレッシブな戦いが繰り広げられることが多く、観客にとっては非常にエキサイティングです。また、体力的な負担が軽減されるため、トーナメント形式の大会で連戦を強いられる選手にとっても公平な条件が保たれています。